初めてのデートの思い出

グッドフェローズ スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD]
 ここ数日、高校時代からの女友達とメールを交わした。彼女とは、たまに、そう半年から1年に一回くらい思い出したように連絡をとる関係。彼女は、もう随分前に結婚して2児の母親。彼女が二人の愛すべき存在を育てている時間をかけてボクが世の中に生み出したものはといえば、2つの会社くらい。しかし、その一つは残念ながらボクの中で「愛すべき」というまでの存在にはなっていない。そう思うと、宝物のような彼女の子供たちが素直にうらやましい。
 その女友達とのメールの中で、「いま、会いにゆきます」の話をした。彼女は育児が忙しくて、映画はなかなかいけないそうだが、既に原作を読んでいて感涙していたそうである。僕が映画がよかったよ、と報告したため、思い出してもう一度原作を読み直してくれて、やっぱり泣けたそうだ。彼女も昔は感動しても泣くもんか、と思っていたが、子供を産んでから涙することをはばからなくなっているそうだ。で、彼女が主人公たちの高校時代のくだりを読んで、一緒に高校時代(高3の受験直前)に映画を観にいったのを思い出したよ、と書いてくれた。
 今でもその映画を誘った時のことは覚えている。英語塾の帰りに一緒の電車にのって同じ駅で降りていたあの頃、公開前の「グッドフェローズ [DVD]」のポスターを見て「面白そうだね」という彼女の言葉を聞いて、(ボクはちっともギャングものなんて興味もないのに)彼女をこの映画に誘おうと決めたのだった。ただ、それから実際に誘うまで、何回喉元まで出てきた言葉を出すことができずに彼女が迎えの車の中に乗っていくのを見送って、情けない思いをしたことだろう。ようやく何度目かの別れ際に誘って、でもすぐには返事がもらえず、しばらくして学校で掃除をしている時に、女友達と二人連れで彼女が「イエス」の返事をしに来てくれた。
 ボクが、知っていた?あれがボクの初デートだったんだよ、と書くと、彼女にとっても初デートだったんだよ「知っていた?」だって。だから、小説と同じように空気感までよく覚えているよ、とのこと。
 考えれば、進学校にいたまじめな(?)2人(中高が男女別学で、高3で初めて授業が一緒になるという訳の分からないシステムだった)だったから、十分高い可能性でそうであったと思う。でも、改めてその事実をこうやって、あれから14年の月日を隔てて知るのは悪い気持ちがしないのである。
 ちなみに、あれはボクの初恋で、かつ一目ぼれだったんだよ、知っていた?